第164章

島宮奈々未が車で病院に到着すると、そこには丹羽光世と川崎正弘の姿があった。

彼らが大西茂と何かを話し合っている中、夏目海人が真っ先に島宮奈々未に気づいた。彼は内心の小さな興奮を抑えきれず、立ち上がった。

「母さ……島宮おばさん」

これまでずっと島宮おばさんと呼んでいたせいで、すぐには呼び方を変えられず、少し照れくさそうにしている。

その言い直された言葉の裏にある響きに、島宮奈々未は思わず鼻の奥がツンとした。決して感傷的なタイプではないが、夏目海人から母親として求められた瞬間、心の奥底に封じ込めていた母性がどっと溢れ出したのだ。

おずおずと「島宮おばさん」と言い直す彼の姿を見て、島宮...

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